首こり~はじめに~
一般的に背骨と呼ばれる脊柱は、椎骨が積み木のように積み重なって形成されており、椎骨と椎骨の間には軟骨でできた椎間板があり、クッションの役割を果たしているということは「首の痛み」で説明しました。
つまり、背骨は一本のしっかりした骨ではなく、不安定な「積み木」のような状態になっています。
そのため、身体を起こしている時に「積み木」が倒れないように支える筋肉が必要となります。
首から腰にかけて背骨を両サイドからしっかりと支えている筋肉を脊柱起立筋と言います。
その他にも肩甲骨を吊り上げている僧帽筋(特に僧帽筋上部)や肩甲挙筋、頭を前傾した時に頭を支える頭半棘筋、首を伸展し頭を回旋するための頭板状筋、頭を回旋させる胸鎖乳突筋など、首にはたくさんの筋肉が関係してきます。
首こり~首こりの原因~
首こりは、長時間の同じ姿勢、運動不足、運動疲労、精神的緊張、眼精疲労など筋肉の疲労や血流の悪化が原因であったり、骨や関節の異常、内臓疾患など、さまざまな原因によって引き起こされます。
《筋肉の疲労や血流の悪化によるもの》
首から肩にかけては多くの筋肉があり、それらが重い頭を支えたり、腕を動かすために働いています。
成人の頭の重さは約5㎏あり、頸椎を含む脊柱と首周辺の筋肉がこの重さを支えています。
しかも、日本人は欧米人に比べ体が小さいので、体に対する頭の比重が大きくて、首周辺の筋肉にかかる負担も大きくなっています。
また、腕は片手で約3kgの重さがあり、これが肩(肩甲骨)にぶら下がっています。
腕の骨と肩甲骨(肩関節)は靭帯や三角筋、腱板などで繋がっており、常に重い腕を支えているため、肩甲骨を吊り上げている首周辺の筋肉にも常に負担がかかり、疲労しやすくなっています。
つまり、特別に何かをしていなくても身体を起こしているだけで首こりは起こります。
長時間、同じ姿勢での作業
パソコンなどのデスクワークで長時間同じ姿勢で作業したり、無理な姿勢を長時間していると、筋肉が固まってしまい、血液の循環が悪くなり、筋肉への酸素不足になり、首こりに繋がります。
また、頸椎は緩やかに曲がっているのが正常ですが、デスクワークなどで前傾姿勢を長時間続けると頸椎がそのまま固定されてまっすぐになってしまい、首の負担が増してしまいます。
これを一般的に「ストレートネック」と言います。
たとえ正しい姿勢で作業を行っても、同じ姿勢で長時間作業すると筋肉の緊張状態が続くのですが、特に無理な姿勢、前かがみ、猫背(悪い姿勢)で作業を長時間行うとより負担が大きくなるので注意が必要です。
デスクワークの合間に簡単なストレッチなどを行って筋肉を動かすことで首こりは軽減されますので、定期的に身体を動かすよう心がけましょう。
筋力不足(運動不足)
男性よりも女性に首こりの悩みが多いのは、女性が男性に比べて筋力が弱いことが原因と考えられます。
特に肩や背中の筋力が弱いと、日常生活において首、肩にかけての筋肉に負担がかかりやすくなり、疲労がたまって首こりに繋がってしまいます。
自宅で簡単に出来る運動や筋力アップをするように心がけると首こりが軽減していきます。
運動疲労
腕、ひじ、肩などを酷使すると、筋肉に疲労物質がたまりやすくなったり、筋肉が損傷したりして、首こりに繋がることがあります。
普段運動をしない人が腕や肩に負担のかかる激しい運動をした場合や、重い物を持ったり運んだりする職業の方などに当てはまるかもしれません。
老化
人間は加齢とともに筋力の低下、骨の歪み、関節の異常などが起こります。
これが首こりの原因となることがあります。
老化は避けることは出来ませんが、少しでも老化を遅らせるよう若いうちから適度な運動や日頃の生活習慣などをきちんと整えていくことが大切になってきます。
生活習慣
現代人は、睡眠不足(ストレス)、寝る前の暴飲暴食(内臓に負担がかかる)、長時間のパソコンやゲーム(長時間同じ姿勢を続けている)など、生活習慣が乱れている人が非常に多いです。
このような生活を続けていると、血液循環の悪化、筋肉の酸素不足を招いてしまい、首こりに繋がってしまいます。
また、肥満や痩せ過ぎの人で肩の筋力が衰えていると首こりになりやすくなります。
なで肩、猫背などの体型によって肩の筋肉に負担がかかりやすい体型の人も首こりになりやすいと言えます。
生活習慣の乱れは首こりや肩こりだけでなく、さまざまな病気や症状の引き金となってしまいます。
日頃から規則正しい生活や身体への負担が少ない正しい姿勢をとるように心掛けましょう。
ストレス(精神的な緊張)
肩こり、首こりに限らず、さまざまな病気の原因となっているがストレスです。
ストレスや不安、緊張が続くと、交感神経が優位になって、血液の循環が悪くなり、筋肉に酸素が行き届かなくなり、老廃物を排泄出来なくなり、筋肉が硬直し、首こりの症状として現れます。
ストレスを感じていない人はいないと思いますし、ストレスを回避して生活を送るのも難しいのが現実ですので、自分なりのストレス発散法を見つけ、ストレスと上手に付き合っていくことが大切になります。
眼精疲労
現代人は、パソコン、ゲーム、携帯(スマホ含む)など、目が疲れる生活を送ることが多くあります。
そして、目に疲労がたまると血液の循環が悪くなり、首こりの症状に繋がりやすくなります。
メガネやコンタクトレンズが合っていない場合も目が疲れやすくなりますので、自分の視力に会ったメガネやコンタクトレンズを使うことも大切になります。
目を酷使した場合は、定期的に遠くを見たり、目を動かしたり、温めたタオルや温湿布などで目の疲れをとることが大切です。
《その他の要因によるもの》
首周辺の骨や関節の異常
鎖骨や肩甲骨、関節の異常が原因で首こりに繋がっている場合も多々あります。
これらの異常が筋肉の異常を引き起こし、間接的に首こりの原因となっています。
マッサージや温泉療法、ストレッチなどで症状が軽減されない場合は、鎖骨、肩甲骨、関節の異常、もしくは、顎関節症、頸椎症、変形性脊椎症、側弯症を疑ってみた方が良いかもしれません。
その場合は整形外科などの専門医の受診をお勧めします。
歯や顎関節の異常
歯の病気でも肩こりや首こりを起こすこともあります。
顎関節症や歯周病、噛み合わせが悪いことなどが原因になることがあります。
こういう場合は、これらの治療をすることで改善されますので、歯の矯正や、場合によっては顎の手術、ということも考えられます。
「首こり」という一つの現象を見ても、これだけの原因が挙げられます。
原因をきちんと見極めて、それに合った対処法を行うことが必要になってきます。
間違った対処をしてしまうと、重大な病気に気付かなかったり、発見が遅れてしまうので、単純にマッサージや運動などで解消されない首こりの場合は、病院で診てもらうことをお勧めします。
首こり~首こりが引き起こす身体の不調~
首こりが原因で起こる身体の不調には、以下のものが挙げられます。
頭痛、めまい、集中力低下、うつ(気力低下)、慢性疲労・倦怠感、不眠、イライラする、耳鳴り、冷え、手足のしびれ、吐き気、動悸、胸の圧迫感、不眠、腹部膨満感、目の奥が痛い、多汗など
以上のように、首こり、肩こりは頭痛だけでなく、さまざまな症状に繋がる可能性があります。
《頭痛(緊張型頭痛)・めまいなど》
首周辺には椎骨動脈という脳へ血液を送る4本の重要な血管が通って首こりや肩こりによって首周辺の筋肉が硬直し血管を圧迫することで脳への血流が悪化します。
その結果、脳に十分な血液が行き届かなくなったり、老廃物が排泄されなくなります。
血流の異常から脳への酸素不足が起こり、首こりや肩こりにとどまらず、頭痛やめまい、集中力の低下、気力の低下など、さまざまな症状が出やすくなるのです。
《手のしびれ》
なで肩で肩の筋肉が細い人は、腕を持ち上げておくことが出来ず、首から腕への神経がいつも引きのばされ、鎖骨も下がっている状態になります。
そして、肩の鎖骨と胸のあばら骨の間隔が狭いと、その間を通っている神経や血管を圧迫し、手のしびれが起きてしまいます。
神経や血管が圧迫されたり、伸ばされたりして、手や腕の痛みやしびれを引き起こします。
これについては、「肩の痛み・肩こり」のページで「胸郭出口症候群」として説明しています。
一般的には首や肩の筋肉を鍛えたりして、筋力をアップさせることで手のしびれを改善出来ます。
しかし、慢性化してしまうと、しびれを改善するまでに時間がかかってしまいますので、早めに対処する必要があります。
《首こり病(頸性神経筋症候群)》
首の後ろにある筋肉の異常により、頭痛、めまい、自律神経失調症が起こる疾患です。
パソコンを長時間使用している人、携帯でメールをしたり長時間ゲームなどをしている人の中には、頭痛やめまい、吐き気、絶えず疲労感を感じている人も多いと思います。
「うつむき姿勢」を長時間続けることで首の筋肉に過度な負担がかかると、筋肉は疲労して過労状態となり、変性が生じて硬縮が起こり、頚性神経筋症候群の三大症状(頭痛、めまい、自律神経失調症)が現れ、体調不良となる。この状態が長く続くと、うつ症状(頚性うつ)が現れます。
ちなみに、自律神経とは血管、リンパ腺、内臓など自分の意思とは無関係に働く組織に分布する神経系のことであり、呼吸や代謝、消化、循環など自分の意思とは無関係で生命活動の維持や調節を行い、絶えず活動している神経で、自律神経失調の症状は、肩こり、首こり、動悸、息切れ、手足の冷え、目の疲れ、全身倦怠感、不眠、うつ状態など、いわゆる不定愁訴といわれるものです。
なお、自律神経失調症については「自律神経失調症」のページでもう少し詳しく説明しています。
このように、首こりがさまざまな身体の不調をもたらしてしまうのです。
「うつむき姿勢」になってしまう機会が多い現代人の生活習慣病とも言えるものが、俗に言う「首こり病」なのです。
首こり~首こりの予防~
単なる筋肉疲労で、それ以外に特に何もなければ、マッサージ、温泉療法、ストレッチ、軽い運動などを行うことによって比較的簡単に症状を改善することが出来ます。
乳酸などの疲労物質がたまり続けないよう、溜まってしまった疲労物質を早く解消することが大切です。
もちろん、整体(←クリック)も効果的です。
当院の整体は、患部をしっかりと揉みほぐすことで痛みやこりを取り除くだけでなく、痛みやこりの原因になっている部位もしっかり揉みほぐし体のバランスを整えることで、こりが溜りにくく再発しにくいお体に導きます。
《ストレスを減らす》
ストレスによって筋肉を緊張させないようにすることで首こり解消に繋がっていきます。
デスクワークなどの物理的なストレスの場合は、適宜休憩を入れるようにし、首の筋肉が硬直しないよう首や肩を回す、肩甲骨を縮める、伸びをするなど軽い運動をすると良いです。
また、精神的なストレスの場合は、上手に気分転換をすることが大切になります。
仕事で緊張を強いられる場合は、プライベートとの区別をしっかりつけるよう心掛けましょう。
そして、睡眠は十分に取りましょう。
《長時間、同じ姿勢でいないようにする》
特に事務職などのパソコン作業の多い人や、長距離トラックのドライバーなどはこれが大切です。
適宜休憩をいれるようにして下さい。
首や肩、肩甲骨周りのストレッチなどを行うと首こりが緩和されます。
また、これらの仕事は目もよく使うので、視神経の疲労もたまってくると思います。
休憩の際に目の周りをマッサージしたり、温かい蒸しタオルなどを目に当ててみるのも良いと思います。
《入浴してしっかり温まる》
体中の血行を良くすれば、体中にきちんと酸素が行き届き、首がこりにくい身体が出来上がります。
入浴をしたり、首周りを温めてあげたりすることも効果があります。
シャワーで済まさずに、半身浴などでしっかり汗をかいて体の芯まで温めるのが理想です。
また、食事にも気を配り、体を温める働きのあるものを食べるように心掛けましょう。
《運動をする》
運動不足で肩周りの血流が悪くなったり、筋力が低下してくると肩や首こりの大きな原因になります。
軽いストレッチ、特に肩、腕、肩甲骨、首筋を意識して伸ばしたり縮めたりすると効果的です。
激しい運動をしても続かないので、それよりは軽くウォーキングやジョギングをするだけでも良いので、動くことで血流を良くすることが大切です。
広島県福山市草戸町にある整体&足つぼマッサージ&ヘッドスパのお店「ポリチェ」では、
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